2015.9.25 update お口の奥には危険がいっぱい
東京消防庁のまとめによれば、東京都内で歯磨き中に走り回るなどして転倒し、歯ブラシでのどや頬の内側を突いて救急搬送された5歳以下の乳幼児の数が、昨年1年間で40人に達したそうです。
お口の奥は気管や食道の入口になっていますが、そのさらに数センチ奥には脳が控えています。脳下垂体と呼ばれる部位にできた腫瘍を取り除く手術の際には、頭の上からではく、ノドの奥からアプローチすることがあるくらいです。
大きな血管などもたくさんありそうな雰囲気はご覧になればわかるかと思いますし、そこに歯ブラシが刺されば大きなけがになりそうだな、ということは想像に難くないと思います。それでも、「先も丸くて安全そうな歯ブラシでそんなことが起こるのか?」という疑問はあると思いますが、頭が大きくて重心の高い乳幼児が、口に物をくわえて転ぶということはかなり危険なことだと思って下さい。
歯ブラシに限らず、長くて細いものを口にくわえて歩き回るというのは危険です。アメリカンドックや焼き鳥などの串もの、えんぴつや縦笛、お箸などの事故も起こっています。
かつて4歳の男の子ががお祭りの綿あめをくわえたまま転倒し、わりばしがお口の奥に突き刺さって数日後に死亡したという痛ましい事故もありました。この時は、折れた割りばしが小脳まで達していたのを見逃したということで、大きな医療訴訟問題となりましたので記憶に残っている方もおられるかもしれません。
乳幼児の歯磨きとはいえ難しいことはありません。1. 座らせる。2.目を離さない。これさえ守れば恐れることは何もないです。(記:院長)