2016.1.3 update 過剰歯のお話
私の上の前歯の乳歯が抜けて、大人の歯に生え変わる頃に、「過剰歯」という歯が生えていたことがあります。形は円錐形で、ちょっとキバっぽい形をしていたので、ヤクルトのアルミのフタに穴を開けるのには便利でしたね。
「過剰」という名前からもおわかりの通り、乳歯でもなく永久歯でもない余計な歯です。形は先のとがった「円錐形」をしていることもあれば、普通の歯のような形をしていることもありますが、大きさは通常の歯よりも小さいことが多いです。ムシ歯の治療などでレントゲン撮影をしたときに、偶然に映り込んできたりして見つかることが多いですが、お口の中に顔を出して見つかることもあります。
過剰歯は、永久歯が生える場所に先に生えてしまったりすると、本来その場所に生えてくるはずの歯のジャマをして歯並びを乱す原因になりますので抜いてしまうのがお勧めですが、骨の奥深くに埋まっている場合など、すべての過剰歯を抜く必要があるわけではありません。
過剰歯が永久歯の根っこ付近に埋まっている場合、その根っこの一部を吸収してダメにしてしまうことがあります。そういうわけで、通常のレントゲン撮影で正常な歯の根っこに重なって映った過剰歯を見つけただけで、「抜かなきゃダメだ」という歯科医もいますが、通常のレントゲン撮影では奥行き方向の距離はわかりませんので、本当に歯同士がぶつかっているのか、あるいはぶつかりそうなのか、といったことは3次元的に位置を確認しないと断定できません。
また歯の根っこ付近というと、骨の中でも相当な深さになるので、その位置の過剰歯を抜くとなると、骨に穴を開けて入口を作ったりとけっこう派手な手術となり、子供さんの場合ですと全身麻酔が必要となったりもして患者様の負担も大きくなります。というわけで、そのような場合、当院では必ず「CT撮影」による3次元的な歯の位置のチェックをしてから判断しています。
私の過剰歯は、けっこう長いことそのままにしておいたので、歯の生え変わる順番を変えてしまい、結果として右側の前歯のかみ合わせが部分的に上下逆になってしまいました。あの歯をさっさと抜いていれば、あんなことにならなかったんだなー、と気がついたのは、歯科医師になった後でしたけどね。(記:院長)
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