矯正治療とタバコと酒②
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今日は大人の矯正治療のお話です。
当院の矯正患者様の約3~4割は20歳を越えていらっしゃいます。矯正治療はこどもが受けるもの、と思っていらっしゃるかたもおられるようですが、矯正治療は歯と歯肉と歯を支える骨が健康であれば何歳でも始めることができます。
20歳以上の矯正相談でしばしば聞かれるのが、「タバコは吸っていいですか?」「お酒は飲んで大丈夫ですか?」という嗜好品のこと。
前回に引き続き、今回はお酒についてお話します。
結論からお伝えしますと、矯正治療中の飲酒は、節度を持てばOKです。
お酒自体が体に害をなすのは、度を越えた量を習慣的に飲んだとき。適量を楽しむ分には問題ないと考えています。
ここでいう適量というのは、翌日に響くかということではなく、お酒を飲んだ後でしっかり歯みがきを行なうことができるくらいの正気を保てるか、ということです。
どうしてもお酒を飲んだ後は楽しい気分になって、そのまま寝てしまいたいかたも多いのではないでしょうか。そうすると、翌朝自分の口臭のヤバさでげんなり、なんてことにもなりかねません。
甘いお酒や、甘くなくても糖分を含んだお酒はムシ歯菌も大好きです。ジュースを飲みっぱなしにしているのと同じムシ歯リスクです。それに、お酒を飲むとき、大抵のかたはおつまみも召し上がりますよね。お酒のお供になりやすいナッツ類や乾物は矯正装置を壊しやすいです。普段は注意していても酔っているとついつい食べちゃいけないものを食べてしまったり、やってはいけない食べ方をしてしまう、なんてこともよく聞く話です。
取り外し式の矯正装置や保定装置を使用中の患者様は特に、長時間に及ぶ飲み会は注意していただきたいところです。長い時間飲んだり食べたりしているということは、その間装置が使えない、ということになります。装置が使えなかった分、歯の動きのコントロールができなくなりますので、長時間に及ぶ飲み会が頻繁にあると少々厄介です。
つまり、矯正治療中の飲酒で問題になるのは【ムシ歯リスク】、【装置破損リスク】、【装置使用時間が足りなくなるリスク】ということになります。ただ、タバコと違って量と頻度さえ度を越さなければ今のところ健康被害はさほど気にしなくてよいようなので、当院としてもタバコほどの注意喚起は行なっておりません。
ちなみに、ムシ歯菌のエサを含まないウィスキーなどの糖質ゼロのお酒を飲むだけなら、矯正治療中でもムシ歯になりづらいのでは?取り外し式装置をつけたまま飲んでもいいのでは?と気になって調べてみたところ、そうとは言えないということが発覚してしまいました。何故かというと、お酒自体のpHが酸性寄りものもが多く、ムシ歯菌が出す酸に頼らずにお酒自体が歯を溶かしてしまうリスクがあるのです!折角お酒好きな患者様に「蒸留酒ならOKです!」って言えるかと思って調べたのに……残念というか、そううまくはいかないよね、というか……。因みに、砂糖を含まない炭酸水も同じ理由で飲みっぱなしNGでした。
結論:全身の健康のためにも、矯正治療で良い結果を得るためにも、飲酒は量と時間を決めて楽しみましょう。飲んでも飲まれるな、楽しい時間の後はしっかり歯を磨いてお風呂に入ってパジャマに着替えてお布団をかけて寝て、すがすがしい明日を迎えましょう。
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