2015.7.11 update 歯の大きさ調整
例えば「歯が大きい」と言われたとします。皆様はどういう風に歯の大きさというものをイメージするでしょうか?
鏡でご自分のお口を真正面から見たとき、前歯はおおよそ四角い形をしていると思いますが、矯正歯科ではその横幅が広いことを「歯が大きい」、上下方向に大きいことを「歯が長い」と表現しているかと思います。
形態的に歯並びの乱れに影響してくるのは、歯の「横幅」の方です。顎の骨に対して歯が大きすぎるとか、上下の歯の大きさでバランスが取れていないといった場合、歯を抜いて並べるスペースを確保する方法が有名ですが、他に1本1本の歯の「横幅」を少しずつ調節してスペースを確保するという方法もあります。
具体的には、歯を削って横幅を小さくするということです。「歯を削りたくないから矯正しているのに!」とお叱りをいただくこともあるのですが、本来、歯というものはある程度自然に削れていくようにできていて、その場所は上下の歯が咬み合う部分だけでなく、隣り合う歯同士が接触する部位でも起こる事が縄文時代のヒト骨格の研究などでわかっています。
ところが歯の横幅が小さくなるという歯の削れ方は、多分に食生活に左右されるとされていて、現代食ではあまり生じてこない、ということが、顎の骨の縮小傾向とあわせて歯並びの悪さにつながっていると考えられています。その分を人工的に行ないましょうというのが、「ディスキング」とか「I.P.R.(interproximal restration)」と呼ばれる歯の大きさの調整です。
多少なりとも歯を削りますので、やりすぎると知覚過敏症などの副作用を引き起こします。ですので当院では、1回あたり0.1~0.3 mmという量で、場所にもよりますが1.0 mmくらいまで削るというのが一般的かなと思います。
万能の技ではありませんが、矯正治療後の歯の安定のためにあえてやったり、ブラックトライアングルという歯ぐきのスキマ防止にもなりますので、上手く使えばかなり有効な手段です。
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